日本は木の文化だと言われている。城壁などの高いレベルの技術を見れば、石の文化も相当なものだと思うが、山に囲まれた風土では身近にある豊富な森林資源を利用したのは必然だったのだろう。奈良時代の大寺院は、鎌倉、室町、現代と400年ごとに大修理が行われ、その都度、樹齢400年以上の大径木が必要とされてきた。もちろん、伝統技術が継承されたからこそ、建物も1000年以上の長きにわたり維持されてきた。
一方、現在の日本の山は安い外国産材に押されて荒廃していると聞く。事実、流通している構造材なども SPF(スプルース、パイン、ファー)等の外材が主流だ。しかし、この状況で400年後に果たして外国産材に頼らずに身近な資源を有効に活用できるのだろうか。樹齢400年の巨木を育てるためには一般住宅用の樹齢50〜100年の木材が流通することで支えられる。中国資本が水資源を求めて、日本の山を買っているという話しもある。これから日本の安全、安心な食を支えるのはどうやら農業の問題だけでもなさそうだ。農業であれば1年後に農作物を収穫できるが、林業では2世代以上の長い歳月がかかる。
安いのは確かに有難い。しかしそれ以上に、将来払う代償は大きそうだ。これからは、多少高くとも国産の FSC認証の木材の普及に努め、施主の方々にご理解をいただきながら木材の国内自給率向上に貢献していきたい。
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