目白の住宅が完成して半年が過ぎ、ガーデニングを拝見しに久しぶりにお邪魔しました。
帰りがけに、自由学園明日館を訪れました。この場所(または領域)だけ、不思議な空気が流れていることに気づかされます。それは荘厳な神社の境内にも似た感覚です。建物と周囲の環境(ランドスケープ)が一体となって造り出す空気なのだと思います。このような空気感をもった建築とランドスケープをデザインしたいとの初心を再確認しました。
この明日館は、フランクロイドライトと弟子の遠藤新による設計で、大正10年(1921)に中央棟が完成し、平成9年(1997)に国の重要文化財に指定され、動態保存のモデルとして様々な用途で利用されながら維持保存がなされています。このように、築100年に満たない場合でも、文化的な価値を有する貴重な建築と環境であれば、国が責任をもって維持することは素晴らしい試みだと思います。明日館のように、100年後にも遺したいと思える建物と環境が増えれば、建築とランドスケープによる文化が今後の日本でも成熟するのではないかと期待しています。
最後に、目白のガーデニングと擬宝珠です。青々としたギボシの葉は、まさに寺院の高欄や橋等で見られる擬宝珠の形をしています。来年はジューンベリーの花の見頃にまた、お邪魔させていただきます。建物は完成してから周囲の環境(この場合はガーデニング)との調和に心をこめて関われば、明日館のような空気が生まれるのかもしれません。