震災後、2ヶ月が過ぎました。
回数は減ってきたものの、余震は日本の広範囲で続いています。
前回のブログでは建築基準法が、建築する際に国民の生命を守る観点で策定された国の「最低基準」であり、大きな災害が起こるたびに経験値の低さをカバーしてきた経緯を書かせていただきました。
今後、検証されるものと期待しますが、おそらく今回の地震により判明した経験値の低さのひとつに、度重なる震度5強以上の大きな「余震」があると思います。今の基準法では残念ながら、繰り返される大きな地震「余震」は必ずしも想定されているとは言えません。
1)稀に発生する地震(震度5強程度、80~100gal)に対して弾性範囲内の設計。
2)極めて稀に発生する地震(震度6強~7程度、300~400gal)に対して建物が崩壊せず、人命を守る設計。 の2段階。
今回の地震は、安政の三大地震(1854〜1855年、想定M8.4/8.4/6.9)が、東海、南海、江戸の順に震源を変え、約1年かけて発生し、その後、 1858年頃まで続いていたのと酷似していると指摘する地震の専門家もいます。建築基準法に大きな影響を与えた関東大震災(1923年、想定M7.9)でも余震はあったようですが、安政の大地震のように長期間に亘り大きな余震が継続したものではなかったようです。関東大震災は今からたった88年前の出来事です。建築基準法に、安政の大地震の経験がいかされていないのは、時代が江戸期であり、近代的な計測や研究が始まる前だったことを考えれば仕方のないことかもしれません。
管総理大臣が先日、御前崎の原発停止を指示したことは、その手法や手続きは別にして、歴史を鑑みてみれば当然の判断と言えるのではないでしょうか。今後、大きな余震が日本の不特定箇所で数年間は継続することを前提にした場合、その間得られたデータを元に、建築基準法の改正が行われるものと期待されます。
これから建築を予定されているクライアントの皆様とは、設計段階から繰り返される大きな「余震」の可能性も念頭において計画を進めたいと考えております。