「奈良文書20周年記念会合」の「NARA+20」の宣言文の作成まで3時間空いた為、隣の奈良国立博物館で開催されていた「第66回 正倉院展」を見学してきました。聖武天皇が使用していた寝台(ベッド)と床(マット)が展示されており、特にマットは藁の残形に、実際に使用されていたリアリティーが感じられ、1300年前とは思えない貴重な展示で一見の価値があります。
まだ時間があったので、久しぶりに東大寺にも寄ってみました。南大門は大仏殿などと共に平重衡らによる南都焼討で焼け落ちた東大寺再建の為に、大勧進を勤めた俊乗坊重源が宋様式の建築を学びまた自ら大仏(天竺)様式を考案し建てています。大仏様式は木造による巨大な建造物を可能とし、そのスケールは海外の観光客も圧倒されているようでした。先週、訪れた霊隠寺も大寺院でしたが、東大寺南大門は霊隠寺の門を遥かに凌ぐ大きさであり、何よりも素晴らしいのはこの建物が修理を繰り返しながらも800年以上もの間、維持されてきた事実です。今回は重源の遺徳を讃え、大仏殿江戸復興の大勧進公慶上人が建てた俊乗堂も見学しました。錣葺(しころぶき)の屋根が特長的です。また、その向いにある鐘楼は、重源を継ぎ大勧進となった栄西禅師により再建されたようで、大仏様に禅宗的要素を加味した建物と書かれていました。栄西禅師が重源の遺志を継いだことを初めて知り、また先週の杭州に続き中国との文化的な繋がりに不思議なご縁を感じております。