更地になった敷地を初めて訪れた際に、図面で思い描いていたよりも狭く感じることは今でもある。今でもと言うのは先日、等々力渓谷脇の700㎡の敷地に延床面積500㎡の街角美術館(アートフォーラム)を計画する設計課題のピンアップ講評で、学生から「敷地に行ったところ、写真や図面で想像していたよりも狭く感じました。」という意見があった。これに対して私自身も先日、本社屋の設計にあたり、初めて6000㎡(約2000坪)の敷地を訪れた際に、やはり想像していたよりも狭く感じたからだ。住宅の設計では200坪もあれば豪邸で、通常は40〜100坪の敷地で計画しているだけに、久しぶりに自分には持ち合わせていないスケール感覚だった。
しかし、良い建築が完成したか否かのひとつの判断基準は、住宅でも美術館やビルでも、建築することによって思っていたよりも広く感じる奥行のある空間に仕上ったかどうかで見極めることができると考えている。それには一人の人間が建物のスケールを意識できる内部空間の構成と、内部と外部の関係を読み解くことが重要だと思う。住宅設計で要求される人間のスケールを大切に計画をして、6000㎡の敷地に建物が完成した時に、思っていたよりも広く感じると言っていただける空間をめざしたい。
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