子供だけでなく、大人までもがテレビゲームに夢中になって遊んでいる姿を電車内で見かけることがあります。今では化粧をする女性と同じく車内では当たり前の光景となってしまったので、疑問に思う私の方が変わり者なのかと考えてしまうくらいです。その賛否はひとまず置いておき。私が中学生の頃に、ゲームセンターでインベーダーゲームが流行したため、それなりにゲームセンターで遊んだ世代ですが、その後のテレビゲームのブームには全く興味がなく、また、小学生と幼稚園児の子供にも与えませんでした。
ところが、3月11日に起こった大震災の後、連日、被災地の悲惨な状況を伝える生々しい映像と共に、余震による緊急地震速報が続きました。緊張を煽る独特の信号音で「タラリン、タラリン」とジングルが鳴ると、数秒後にグラグラッと揺れたため、下の子が怖がるようになりました。その様子は明らかに精神衛生上、好ましくないと考え、我が家に初めてテレビゲーム(Wii)が登場することとなります。Wiiであれば、同じゲームであっても、ゲームセンターのような社交場的な雰囲気があり、私としても受け入れ易かったのです。購入したソフトは「wiiスポーツリゾート」と「スーパーマリオブラザーズ」で、子供達はめきめきと腕を上げ、4〜5ヶ月でかなり上達してしまいました。。。
しかし、震災から半年が過ぎ、テレビゲームに夢中になっている子供たちの姿を見ていて、違和感を感じ始めました。。。自分が小学生の頃はプラモデルなど、何かを造ることに夢中だったことを思い出しました。戦車や戦艦、スポーツカーなど考えてみれば、色々と造りました。その後、モーターとタイヤなど、部品や材料を買って来て、完成する形を考えながら、自分だけの動く乗り物を造る事に興味を持つようになりました。当時、下北沢にあったプラモデルショップ(おそらく今でもあると思いますが)は私のような子供たちで大繁盛でした。私の後の世代にはガンダムが流行していたので暫くはブームだった時代です。建築学科の同期と子供の頃の想い出話をすると、同調する仲間が多いことから、ものを造る楽しさを知っている世代なのかもしれません。
先日、ららぽーと横浜に買い物に行った際、たまたまプラモデルショップを見つけました。ここには、昔の懐かしい風景があったのですが、残念なことに子供よりも私のような大人の方が多いことに愕然としました。考えてみれば、完成したおもちゃを当たり前のように買い与えていたのですから、自分にも責任があるのだと感じました。そこで、息子に、自分が彼らと同じ年齢の頃にプラモデルを沢山造った想い出話をしたところ、興味を持ってくれたので、何か良いプラモデルはないものかと捜していたら、ポケモンのキャラクターのシリーズを見付けました。早速、家に帰って造りましたが、かなり気に入ったようで、今では本人が「自分の一番の趣味はプラモデルづくり」と言うまでになりました。
買ったおもちゃと自分で造ったおもちゃで明らかに違う点は、彼らの扱い方です。自分達で造ったおもちゃは作品として、棚に飾ってあります。愛着を感じているのが良くわかります。ここに、ものづくり日本の原点があるように感じました。作ったものへの愛着を若い世代が持ち続けることが、「ものづくり日本の将来」に向けて、希望の材料になるなのではと感じました。今後、息子の友達など、子供たちの中にプラモデルづくりの趣味が増え、流行が復活することを期待しています。